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多目的トイレの情報を発信して、車いすユーザーが外出しやすい街に

岡山県立烏城高等学校
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(左から) 
森田 未桜 さん(3年)、實末 紗和 さん(3年)、山本 桜世 さん(2年)

探究活動のテーマは何ですか?

私たちは地域にある多目的トイレについて調べました。車椅子を利用している方が外出する際、自分が使えるトイレが近くになかったり、あるかどうかわからなかったりすると、外出をあきらめてしまうということを知り、地域の多目的トイレを調べて車椅子利用者に向けて発信しようと考えました。

どのように課題(テーマ)を見つけましたか?

もともと興味のあった福祉の分野について話しているときに、そういえば普段あまり車椅子の人を見かけないよねという話になったんです。それで、何か外出するうえで壁になっていることがあるのかなと思い、まずは車椅子を借りて自分たちで乗ってみて、学校の周辺で道の段差やスロープについて調べました。その後、実際に車椅子を利用している方から話を聞きたいと思い、先生を通じて社会福祉協議会に相談して、普段から車椅子を利用している方を紹介してもらいました。話をうかがうと、外出に際してはトイレの情報が不可欠だということがわかり、その後は多目的トイレに絞って調べを進めていきました。

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どのように活動を進めましたか?

「岡山県版の多目的トイレマップ」を作ることを目標に、どこにどんな多目的トイレがあるかという情報を集めました。具体的には、放課後や休日に出かけた先々で多目的トイレを見つけては、入ってみて手すりや付帯設備の写真を撮る、その繰り返しでした。普段の生活圏のトイレはすぐ撮りきってしまったので、少し遠出をしたときや観光地に出かけたときに新しい情報を集めるという感じでした。集めた情報を、最初は自分たちでマップにまとめようとしていたのですが、調べてみると、2008年に大分県で全国障害者スポーツ大会が開催されたときに作られた「みんなで作ろう!多目的トイレマップ」というサイトがあるとわかり、そこに調べた情報を載せることにしました。私たちが登録したものだけではないですが、活動を始めた当初は411か所だった岡山県内の多目的トイレ情報を、580か所まで増やすことができました。

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活動を振り返ってよかったと思う点は?

自分たちだけで考えず、いろんな人に話を聞けたことです。早い段階で実際に車椅子を利用する方に話を聞けたことで多目的トイレに絞って活動することができたと思います。また、トイレについて調べるということで、TOTOの岡山ショールームで話をうかがったのですが、TOTOさんでは「オールジェンダートイレ」という活動をしていると知り、トイレに関する視点が広がりました。また、ほかに印象に残っているのは、車椅子バスケです。活動の最後の方で、多目的トイレマップを周知するために障害者スポーツ教室でチラシを配らせてもらったのですが、それが車椅子バスケの会だったんです。それで、そういう活動をしているなら車椅子バスケも体験してみたら?と言われて、体験させてもらうことができました。校外の方に話を聞いたり実際に出かけたりすることで、普段できない経験がたくさんできたことがよかったです。

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探究活動を進めていくポイントは?

校内・校外を問わず、たくさんの人にアドバイスをもらいながら、自分たちでも意見を出して話し合いを繰り返すことは大切だと思います。ただ、いろんな人の意見を取り入れながら思考錯誤するうちに、だんだんと最初の目的から離れてしまうことには注意が必要だと思います。そもそも何のためにこの活動を始めたのかという、最初の軸のところはブレないように大切にしておかないといけないなと思いました。

(取材日:2024年3月15日)