におい問題の解決へ!実験を重ねて最善策を見つけ出す

探究活動のテーマについて教えてください。
私たちはまず、笠岡市に人を呼び込むために、自分たちにどんなことができるか考えました。そこで一番初めに挙がったのが「牛ふん」のにおい問題の改善でした。
牛ふんのにおい問題はこの地域に住んでいれば誰しもが感じたことはあると思うんですけど、どこからともなく牛ふんのにおいが漂ってきて笠岡の町中がそのにおいに包まれるんです。
グラウンドで部活をしていると、部活に集中できないくらい強烈なにおいが来ることもあありました。(笑)
日常的に牛ふんのにおいが漂っていることで、初めて笠岡市に訪れた人はそのにおいに驚くだろうし、笠岡市民にとっては根深い問題なんじゃないかかと思い、テーマに設定しました。
どのように進めていますか?
この牛ふんのにおいの原因を探ると、地域にある大きい農場から流れてきていることがわかりました。まずはその大元の原因を改善できないか、農場に話を聞きに行きました。
すると、農場の方たちは牛の食べるものを変えたり、農場でミストを出してにおいを吸着させたりと、すでににおいを抑えるためにいろいろな工夫をされていることがわかりました。
そこで私たちは大元のにおいを解決するのではなく、まずは自分たちの身の回りで改善できる方法がないかを考えることにしました。

―実験を繰り返して解決策を導き出す
解決策を考えるためにはまず、牛ふんをよく知る必要があるということで、農場の方に牛ふんをいただき、どうすればにおいを抑えられるか試すことにしました。
調べるとクエン酸に消臭効果があるとわかったので、牛ふんにどんな柑橘類を合わせればにおいが抑えられるのか一つひとつ実験していきました。
実験は、いたってシンプルなもので、牛ふんに果汁をかけて、かけるまえとかけた後でどのくらい変化があるかにおいを嗅ぐというものです。
柑橘類は、レモン、オレンジ、だいだいなどの果汁や、レモン果汁として売られているものまで幅広く試しました。


実験はどうでしたか?
いやー、めちゃめちゃ臭かったです。漂っている牛ふんのにおいよりも、実物の牛ふんは比べ物にならないくらい臭くて、みんな吐きそうになりながら実験していました。(笑)
同じようなにおいがする柑橘系の果物でも、果汁の種類によってにおいが消えるものと消えないものがあるので、それを見分けるのが本当に大変でした。
4~5種類試したんですけど、その中で一番効果があったのは「レモン」でした。レモンだけ、きれいさっぱりにおいが消えたんです。でも同じレモンでも、「しぼりたて」のレモン果汁ということが重要で、パックに詰めてレモン果汁として販売されているものはにおいを悪化させることがわかったのは発見でした。ちなみにオレンジは余計に腐ったようなにおいになって悪化しました(笑)
実験を終えて
レモンのにおいは牛ふんのにおいを消臭するとわかったので、そのレモンのにおいをどうやって身に着けるかというところを考えています。香水とか、ネッククーラーとか、腕に付けるリングとか、鼻栓のようなものとか・・・どんな形でグッズにできるか今はアイデアを膨らませているところです。瞬間的に香るものじゃなくて、継続してにおってくれなきゃ意味がないので、このあたりの工夫が難しいと感じています。

どんなことを学びましたか?
農場の方とか市役所の方とか、学外の人を巻き込みながらの探究活動になっているのですが、たくさんの人に協力してもらえているのでありがたいと思っています。インタビューをするときも、わかりやすく答えてくださるので、地域の人に支えられているということを改めて気づかされました。
あとは、電話での敬語とか話し方とか、学外の人とのコミュニケーションもうまくなったように思います。
これからの目標は!
川相さん:
小さいときから牛ふんのにおいについて気になっていたので、商品化して、笠岡のにおい問題を解決したいと思っています。
柳本さん:
においを改善する商品が、笠岡だけじゃなく、他の市や県外にも広がっていったらいいなと思っています。
増岡さん:
レモンは瀬戸内の特産品でもあるので、共同で商品開発して、地域とのかかわりも強くしていけたらいいなと思います。
古宮さん:
商品を完成させて、イノベーションコンテストに応募して受賞できたらいいなと思っています。
藤岡さん:
商品を完成させることも大きい目標ではあるんですけど、作っていくうえでの出会いとか過程も楽しみながら頑張っていけたらいいなと思っています。
