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青春を“だいだい”に捧げた9人

笠岡商業高校
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北木島DAIDAI GO!GO!「きたり」チーム

探究活動のテーマについて教えてください。

だいだいを使ったクラフトコーラを開発して、笠岡諸島・北木島を活性化させることをテーマに進めています。
1年生のころから北木島に通っていて、そこで出会ったのが「だいだい」という柑橘類の果物でした。北木島ではカキを食べるときに、レモンではなくだいだいを搾って食べる習慣があると聞き、興味を持ったことがきっかけです。
柑橘系を使った商品って何だろうと調べていた時に、石鹸とか香水も候補として挙がっていたんですけど、クラフトコーラが最近ブームになりつつあると知ったので、レモンの代わりにだいだいでクラフトコーラを作ってみようと思いました。

どのように取り組んでいますか?

1年生の最初、メンバーは2人でしたが、それが学年を重ねるごとに4人…6人と増えていって、最終的にはこの9人のメンバーが集まりました。笠SHOP探究班として、商業クラブの活動を有志で取り組んでいます。
コンテストにも出場しているのですが、以前は、企画書作成やプレゼンの準備で、放課後だけじゃ時間が足りなくて夜遅くまで準備したり、夏休みも毎日のように集まったりしました。

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チームで大切にしていることを教えてください。

一番は「楽しむこと」だと思います。ずっとパソコンに向かって作業していると眠たくなることもあると思うんですけど、メンバーの誰かが大声で歌いだしたりして、みんなの気持ちを吹っ切ってから頑張ることはよくありました。メリハリは大事ですけど、行き詰った時のいい気分転換は心掛けていましたね。
あとは、リーダーをあえて決めなかったというか、誰か一人に負担がかかってしまうようなことはしませんでした。コンテストごとにメンバーを引っ張っていく存在は変わっていって、プレゼンする人とサポートする人を入れ替えていくなど、みんなで役割分担して挑みました。
実際に学校の外に出て、動いてみないとわからないことも多かったので、「悩むよりまず行動!」の言葉は大切にしていました。

活動を進めるうえで難しかったことはありますか?

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まさに、クラフトコーラづくりに苦戦しました。一度作ってみようとなったものの、作った経験のあるメンバーはいなかったので、レシピを検索するところから始めました。
レモンが使われたレシピで、果物だけだいだいに置き換えてみたのですが、それがめちゃくちゃまずくて…(笑)そこから何種類、何週間も試行錯誤したのですがおいしく飲めるクラフトコーラにはなかなかたどり着けませんでした。ちなみにそこで一度、このプロジェクトの解散の危機が訪れました。

―そこからどのように立ち直ったのですか?

おいしくない原因ももうわからなくなるくらい試したので、自分たちでも迷走してきちゃって……ほんとにもうやめちゃおうか、という時に先生から「もう一回頑張ってみようよ」と背中を押してもらって、考え方を変えるきっかけになりました。
それまでは、甘さを出すために蜂蜜とか黒蜜とかいろんなものを足していたんですけど、一旦シンプルにしてみようということで、引き算してみたんです。
香辛料のバランスを調整をして、やっとおいしい奇跡のバランスが見つかりました。

―その時はどんな気持ちでしたか?

希望が見えて、ほんとにうれしかったです!せっかく作るなら胸張って「おいしいよ」って言えるものを販売したいので、あきらめずに続けてきてよかったなと思った瞬間でした。
ちなみにレシピは企業秘密です(笑)

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活動を通して学んだこと、身についたことは何ですか?

島の方とか企業の方と話す機会も多かったんですけど、学校の外に出て活動すると、違う年代、職業、考え方の人たちと交流することができるので、色んな価値観があることを身を持って学びました。社交性とかコミュニケーション力は確実に身につきましたね。
あとは、私たちの活動をきっかけに、今まで興味のなかった人が動いてくれたり、島の方々が繋がってくれたりしたことが印象深かったです。

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これからの目標を教えてください。

チームの目標としては、このクラフトコーラを商品として完成させて北木島とか道の駅で販売したいと思っています。メンバーのみんなが3年生なので、進路のこともしっかり考えつつ、みんなの進路が決まったらまたコンテストとかに挑戦したいと思っています。

(取材日:2024年6月27日)