なくす竹害
~竹と液肥でイノベーション~


このチームは、第34回全国産業教育フェア栃木大会 全国高校生ビジネスアイデアコンテストにおいて、全国から選ばれた決勝進出8校の中、最優秀賞と文部科学大臣賞に選ばれました。
探究活動のテーマについて教えてください。
竹害という「害」を「利益」にできるような仕組みを考えています。
今までは竹害をなくすためにお金を払っていたのが、逆にお金を得られるような仕組みを作ることができれば、放置竹林のマイナスの部分をプラスにしていけるのではないかという思いでこのテーマに取り組んでいます。

このテーマに決めたきっかけを教えてください。
通学路に竹林があるんですけど、その竹がどんどん枯れていって景観としても美しくないし、ごみも放置されるようになったのでなんとかしたいとずっと思っていました。
授業で探究活動を始めた時に、これが「放置竹林」という課題であることを知りました。竹は木と違って根が浅いので、災害が起きたときに地滑りが起きやすく、また人が入らない竹林がイノシシなどの住処となることで害獣被害につながるといった深刻な問題があります。
どのように取り組んでいますか?
その竹害をなんとかしなければいうことで、まずは竹を使うために「竹細工」に加工する方法はないかと考えました。しかし、竹害は竹をたくさん使って消費しなければ解消できないという課題にぶつかり、「パウダー」にすると竹を大量に消費できるという方法をインターネットで見つけました。
竹を「パウダー」にすると、防草効果や土壌改良効果や消臭効果など、メリットがたくさんがあるので、いい商品ができるのではないかと思い、さまざまなアイデアを考えました。
時系列としては、1年生の授業でテーマを決めて、2年生ではそのテーマで調べ学習をしてビジネスプランを作り、岡山イノベーションコンテストに出場しました。
3年生では、2年生までに考えたプランをもとに、実際にフィールドワークをするなど、地域の人の協力も得ながら取り組みました。
実際に竹パウダーと、竹チップと、木パウダーを学校のテニスコートに撒き、防草効果があるかどうかの実験にも取り組みました。そして、一番雑草が生えなかったのが竹パウダーでした。
地域や行政の人と連携して活動を進めていると思いますが、学校外の大人と活動して学んだことや印象に残っていることはありますか?
自分たちで考えたビジネスプランを企業の人に聞いていただき、悩んでいた部分に対して、親身にアドバイスをいただけたことで、高校生の私たちだけではできなかったことが、実現できたことが印象に残っています。
また、真庭市の人たちはみんな優しいなと思いました。以前からこの地域の人たちはつながりがあっていいなと思っていたのですが、「竹パウダー」について話に行ったときも、フレンドリーに受け入れてくださったので、活動を進めやすかったです。

活動を進めるうえで難しかったことはありますか?
はじめは自分たちで、削るための“ヤスリ”がついた電動の機械を使いながら竹パウダーを作っていたのですが、そうすると、4時間かかっても一握りしか作れず、とっても苦労しました。これから大量に作る必要があるのにこのペースで大丈夫かな?と絶望感を感じました(笑)
―それをどのようにして乗り越えましたか?
竹パウダーを大量に作るために、地域の人に協力していただき、実際に作りながら、その活用方法についてもアドバイスをいただきました。
そこで、竹パウダーは土壌改良材に使えますが、栄養素が足りていないという問題を聞き、真庭市が無料で配布している「バイオ液肥」と混ぜたら、よりよい商品になるのではないかという今のアイデアが生まれました。
チームで大切にしていることは何ですか?
「感謝の気持ちを忘れない」ということです。
真庭市にずっと住んでいて、地域の人に助けてもらうことも多いので、真庭市のために何かすることで、この地域の人たちに恩返しがしたいという気持ちで取り組んでいます。

活動を通して学んだこと、身についたことは何ですか?
福島さん:
実際に行動しないと何も始まらないということを学びました。実際に学校の外に出て地域の人と出会ったことで、探究活動が前に進んだので、自分のやりたいことを自分な中だけにとどめず、一緒に取り組んでくれる人を探すようにするなど、これからも行動力を大事にしていきたいと思います。
二若さん:
人に伝えることの大切さを学びました。私たちが考えている事業プランがどれだけいいものだとしても、研究分野に詳しくない一般の人に理解してもらえるように伝えなければ意味がないということを実感しました。良さを分かってもらうために、プレゼンでの話し方やスライドでの表現の方法を工夫しました。
有馬さん:
人前で話すことが苦手だったのですが、コンテストでの発表などを通して、人前で話せるようになりました。自分にとっては大舞台だったので、これからはどんな場所でもこれ以上に緊張することはないと思って、頑張りたいと思います。
金丸さん:
1人でもできることはあるけど、たくさんの人と協力する方がいいアイデアが生まれることがわかりました。そのおかげでこの活動でいいアイデアが生まれて、コンテストにも出場することができたのだと思っています。
これからの目標を教えてください。
3月までに袋詰めした竹パウダーを学内で販売することを目標に、研修に参加するなどしています。また、真庭市の生ごみ回収の事業で、実際に竹パウダーを使ってもらうにはどうしたらよいかというアイデアを考えています。