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「茶飲美作」〜美作の伝統茶「海田茶」の入浴剤で地域を元気に〜

岡山県立林野高等学校
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福田 羽捺 さん、則本 杏 さん、山本 陽菜 さん

探究活動のテーマについて教えてください。

私たちは、学校の「みまさか学」という授業の一環で、美作市の課題解決や魅力発信に取り組んでいます。メンバー3人とも元々美容に興味があったことから、「美作地域の人に、地域の特産品を使ってさらに健康にきれいになってもらおう」というテーマを掲げました。活動期間は、2年生の4月から3年生の秋までのおよそ1年半です。

具体的にどのようなプロセスで活動を進めたのですか。

最初は、地元の特産品である「美肌ミスト」と、古くから伝わる「海田茶(かいたちゃ)」を組み合わせたフェイスパックの開発を考えました。しかし、製造会社の方にお話を伺うと、金銭的な面から実現が難しいことがわかり、この案は断念せざるを得ませんでした。そこで私たちは方針を転換し、海田茶に絞って活動を進めることにしました。そして入浴剤の開発に挑戦しました。
初めは重曹とクエン酸を使って固形の「バスボム」を試作しましたが、固まりにくく崩れやすいという問題に直面しました。そこで発想を転換し、固めることをやめて、海田茶と重曹、クエン酸を混ぜた粉末をそのままお茶パックに詰めるというシンプルな形に行き着きました。これならワークショップなどで参加者の方に作ってもらうのも簡単だと考えました。
活動の集大成として、2025年11月9日に津山市で開催された「未来の商店街」というイベントで、私たちが開発した海田茶入浴剤の手作り体験ワークショップを実施しました。当日は海田茶の試飲も行い、それをきっかけに多くの方に興味を持ってもらうことができました。
もしこの活動を後輩が引き継いでくれるなら、入浴剤の香りや色の改良、廃棄茶葉の活用などに取り組んでほしいと願っています。

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地域の方々とは、どのように連携したのでしょうか。

海田茶の製造元である「小林芳香園」様には、成分について詳しく教えていただいたり、イベントで使う茶葉を提供していただいたりと、全面的にご協力いただきました。他にも、美肌ミストの調査では観光協会や製造会社、香りの検討では地元の製材所など、多くの企業や団体の方にお話を伺いました。
また、活動を始める前に地域の方から教わった「三方よし(自分よし、相手よし、みんなよし)」という言葉が、活動の指針になりました。この言葉を心に留めていたことで、活動の軸がぶれずに進められたと感じています。

活動を進める上で、特に大変だったことは何ですか。

最も苦労したのは、入浴剤に入れた茶葉の扱いです。市販の粉の入浴剤のように、お湯に入れると茶葉がさっと溶ける状態を目指して、すり鉢で茶葉を一生懸命細かくする作業を繰り返しました。しかし、どれだけ細かくしても完全には溶けず、お湯に茶葉が浮いてしまって見た目が悪くなってしまいました。また、このままでは家庭の排水口を詰まらせてしまうのではないかという懸念もありました。
どうすれば解決できるか3人で話し合った結果、「茶葉を溶かす」という考え方自体を捨てることにしました。茶葉を粉末にせず、そのままお茶パックに入れることで、成分はお湯に溶け出しつつ、茶葉自体はパックの中に残るように工夫しました。この転換によって、見た目の問題と排水口の詰まりという二つの課題を解決することができました。

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この探究活動を通じて、どのようなことを学びましたか

地元で生まれ育ったにもかかわらず、私たちは海田茶のことを全く知りませんでした。しかし、製造者の方に直接お話を伺ったり、自分たちの手で商品を開発したりする中で、その歴史や効果の奥深さに触れることができました。実際に海田茶を飲むようになって肌がすべすべになったという個人的な体験も、活動への大きなモチベーションになりました。
ワークショップやイベントでは、子どもからお年寄りまで、様々な年代の方と接する中で、自分たちの思いを言葉にして伝えることの難しさと、それが伝わったときの喜びを実感しました。

探究活動を進めるうえでのポイントは?

まず、自分たちが心から「楽しい」「もっと知りたい」と思えるテーマを見つけることが、長い探究活動を続ける上で一番大切だと思います。私たちの場合はそれが「美容」でした。興味があることだからこそ、試行錯誤を楽しみながら、最後まで意欲的に取り組むことができたと感じています。

(取材日:2026年1月28日)