動物が農作物への被害を出さないために、私たちができること
どのようなテーマで探究活動を行ったのか教えてください。
私たちのチームは、「動物が農作物への被害を出さないために、林野高校生が地域のためにできること」をテーマに、2年生の時から1年半にわたって活動してきました。「みまさか学」の授業で美作市の政策や課題がまとめられた冊子を見たとき、他の地域と比較して農作物への獣害被害が多いことを知りました。例えば、島根県出雲市と比べて耕地面積は半分以下なのに、被害額は桁違いに大きいのです。これは田舎特有の大きな問題ではないかと感じました。また、私たちは家族から米や畑をイノシシやシカに荒らされて困っているという話を実際に聞いていたこともあり、このテーマに強く関心を持ちました。
具体的に、どのようなプロセスで活動を進めていったのですか。
活動を始めた当初は、「猟師が増えれば、農作物への被害が減るのではないか」という仮説を立て、猟師という職業の魅力に焦点を当てていました。しかし、活動を進めるうちにそれだけでは難しいと感じるようになりました。そんな時、猟師の方からジビエのお肉をいただく機会があり、そのおいしさに驚きました。そこから、害獣をただ駆除する対象として見るのではなく、肉や皮、骨、角などを活用できる「資源」として捉える視点に変わっていきました。この価値を高めることで需要が生まれ、結果的に猟師という職業の魅力向上にもつながると考えました。
具体的な活動としては、文化祭や校外の方を招いた発表会で、美作市の獣害被害の現状や私たちの活動について発表しました。また、シカの角を使って、地域の子供から大人まで参加できるアクセサリー作りのワークショップを開催しました。参加者が楽しみながら学べるように、獣害に関するクイズも実施しました。

活動を進める上で、地域の方々とはどのように関わりましたか。
猟師の方々には、現場のリアルな話をお聞きし、実際に罠を仕掛ける現場にも同行させてもらいました。また、獣肉処理施設「地美恵の郷みまさか」を見学させていただき、職員の方から直接お話を聞くことができました。情報収集の面では、美作市役所に伺って資料をいただいたりもしました。
活動の中で、大変だったことや課題に感じたことは何ですか。
一番苦労したのは、探究のテーマは決まったものの、「具体的に何から始めればいいのかが全く分からなかった」ことです。自分たちだけではどうにもならず、途方に暮れていたのですが、「みまさか学」の時間に来てくださる「地域の先生」に相談したところ、活動の方向性について具体的なアドバイスをいただくことができ、それが大きな助けとなりました。
活動の課題としては、猟師という職業への関心は持ってもらえたものの、アンケートで「猟師になりたい」という回答はほとんどなく、職業として選んでもらうことの難しさを痛感しました。また、文化祭では衛生面の問題でジビエ肉の提供ができなかったため、お肉の魅力を十分に伝えきれなかったことも心残りです。

活動を通じて、学んだことは何ですか。
一番の学びは、地域の課題を自分ごととして深く理解し、解決に向けて行動する力が身についたことです。これまで家族から話を聞くことはあっても、どこか他人事だった獣害問題が、自分たちで調べるうちに、対策が追いつかない現状など、より深刻な課題として見えてきました。また、文化祭などで多くの人の前で自分たちの考えを発表する経験を通して、発信する力も身についたと感じています。
探究活動を進めるポイントは?
パソコンで調べているだけでは分からないことが多いので、実際に地域に出て、現場の方々のリアルな声を聞くことが大切だと思います。想像で考えるのではなく、インタビューなどを通して直接話を聞くことで、課題の本質が見えてきますし、それが探究活動を深める一番のヒントになるはずです。