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納豆はきれい好き?! ~ポリグルタミン酸を使った水質浄化に挑戦~

岡山県立笠岡高等学校
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馬場 康太 さん、藤井 蒼大 さん、久一 健生 さん、三宅 仁 さん、中藤 愛依月 さん、三宅 ちひろ さん

探究テーマについて教えてください

私たちは、国の天然記念物に指定されている岡山県笠岡市のカブトガニ繁殖地を守ることを目標として、探究活動を始めました。笠岡市はカブトガニが瀬戸内海で生息できる地域の最東端で、世界に一つだけのカブトガニ博物館もあります。
カブトガニが減少した原因を調べると、地球温暖化による海水温の上昇や水質汚染など、様々な要因がありました。その中で、私たち高校生の力で解決できることは何かと考えたとき、「水質浄化なら挑戦できるのではないか」と思い、このテーマに決めました。

具体的にどのように活動を進めましたか?

活動は7月頃から約半年間かけて行いました。水質浄化に効果があるとされる納豆のネバネバ成分「ポリグルタミン酸(γ-PGA)」に注目しました。身近な納豆に含まれていることから「これなら私たちにもできる」と考えたのがきっかけです。

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具体的な実験は、高松第一高等学校の先行研究を参考に、納豆からポリグルタミン酸を抽出することから始めました。私たちは「塩析」「アルコール沈殿」、そしてその2つを組み合わせた方法の3パターンを試した結果、アルコール沈殿で抽出するのが最も効率的だと分かりました。また、抽出の過程で60℃に加熱することで、抽出量が劇的に増えることも発見しました。次に、抽出したポリグルタミン酸を乾燥させ、乳鉢で丁寧にすり潰し、実験用の粉末を作成しました。

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そして、その粉末を使って学校の中庭にある池の水の浄化実験を行いました。水の量に対して粉末の濃度を変えながら効果を比較した結果、水に対して約0.05%のポリグルタミン酸を加えたときに、最も効果的に浄化できることが分かりました。

活動の中での苦労とそれをどう乗り越えたか教えてください

一番苦労したのは、専門的な知識がない状態で、手探りで進めたことです。「塩析」や「アルコール沈殿」といった言葉も初めて聞くものばかりで、やり方が合っているのかも分からず、最初のうちは戸惑いがありました。分からないことはその都度インターネットなどで調べ、勉強しながらなんとか乗り越えました。
実験で特に苦労したのは、ポリグルタミン酸の抽出効率です。初めはごくわずかな量しか抽出できず、納豆を60パックほど使いました。40パックを使い終えた頃、タンパク質の性質を調べる中で「温度」が重要なのではないかと気づきました。文献を参考に60℃で加熱しながら攪拌したところ、抽出量が劇的に増えました。この気づきがもう少し早ければ、と反省しています。

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活動の成果と、今後の課題を教えてください

この半年間の活動で、納豆からポリグルタミン酸を効率よく抽出し、それを使って淡水(池の水)を浄化できることを実証できたのが一番の成果です。
今後の課題は3つあります。まず、本来の目的である「海水」での浄化実験です。一度試しましたが、淡水とは条件が違うようで、うまくいきませんでした。次に、浄化の効果をpHやCODといった具体的な数値で示すこと。そして最後に、浄化の過程で出る沈殿物の回収方法を確立することです。これらを解決し、カブトガニのいる海を守るという目標に近づけていきたいです。

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活動を通してどんな成長や学びがありましたか?

化学が苦手なメンバーもいましたが、実験に挑戦することで興味が湧き、自ら調べるようになりました。学校の授業で習う前に、自分たちの探究のために「塩析」などの専門用語をゼロから学んだ経験は、大きな自信になりました。
また、「納豆が水質汚染という大きな問題を解決するかもしれない」という発見を通して、身近なものを見る目が変わりました。当たり前だと思っていたものの中に、すごい力が隠されているかもしれないと考えるようになったのは、大きな学びです。探究活動で身についた「なぜそうなるのかを突き詰める力」は、他の教科の勉強にも生きてくると思います。

探究活動を進めるポイントは?

私たちのチームは、実験のリーダー、アイデアを出す人、実験を補佐する人、活動を写真で記録する人など、全員に役割がありました。探究活動を進める上で、チーム内でそれぞれの得意なことや個性を生かすことがとても大切だと思います。活動を続けていくうちに、自然とみんなが自分の役割を理解し、お互いを補い合えるようになっていきました。
また、中学校で習った理科の知識が意外と役立つ場面もありました。学校の勉強も探究につながるので、ぜひ大切にしてください。苦手な分野でも、挑戦してみることで新しい興味や発見が生まれるはずです。

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(取材日:2026年1月30日)