新しいアイデアが生まれる
インキュベーション空間に

[設計]株式会社UID 代表 建築家 前田圭介さん

言葉からひもとく刺激的な設計プロセス

make SPACEの設計においては、私自身も新鮮で刺激的な経験をさせていただきました。多くの場合、依頼主からは「こんな部屋がほしい」とか「このくらいの広さが必要」といった具体的な条件を聞いて設計しますが、今回は「省察」、「対話」、「リトリート」、「心の退却空間」といったキーワードを受け取って、そこからどういう建築であるべきかを考えるというプロセスでした。打ち合わせの後でスタッフと一緒に事務所に戻る車中、「あの言葉はどういう意味なんだろう」「どう解釈したらいいんだろう」とよく話していましたね。

その後さらにミーティングを重ね、社員のみなさんとのワークショップなども経て、だんだんと目指すべき建築の形や役割が見えてきたときはとてもワクワクしました。ワークショップでたくさんのアイデアが出たことも、設計のイメージを膨らませるための後押しになりましたね。この会社には、make SPACEを自由な発想で使いこなして、新しいアイデアをどんどん生み出せる最前線のクリエイターがたくさんいると感じたんです。そういう人たちに使ってもらうことが、建築のサステナビリティにもつながっていくと思っています。

日常から離れることで生まれる考察、対話

いつもの場所でするいつもの仕事って、自分の業務に没頭していますよね。そこから少し離れることで、改めて自分の内面を見つめたり、逆にいつもと違うものや人から刺激を受けたりすることもあると思います。「アジール」という言葉があって、それは無縁所とか、世俗と離れた聖域というような意味なんですが、make SPACEにはそういうアジール的な役割があるのではないでしょうか。何にも属さない聖域のような場所で、一人静かに熟考したり、あるいは普段の業務では出会わない人と交流したり。そこに、ゆるやかにつながる空間やさまざまなマテリアルによる知覚への刺激、窓から差し込む光といった、建築がもたらす気づきも合わさって、その人の中に変容をもたらす。そしてまた本社に戻ると、今度は本社に新しい企画やアイデアが生まれる。そんなふうに、make SPACEが本社をさらに活性化させるためのインキュベーション装置のようになればと願っています。

建築は使う人によって育てられる

今は生まれたての空間ですが、これからたくさんの人たちの手が加わり、ものが増え、ときには散らかりながらもどこかでまた秩序だっていく。その繰り返しや時間の積み重ねが、make SPACEの文化になっていくと思います。私の理想は、何十年か後にKSBさんが、地域の生活や経済や文化に大きく貢献する、革新的で圧倒的に突き抜けた存在になっていること。そして「なぜあの会社はそんなに新しいことをし続けられるのか」となったときに、実はここにそれを生み出す建築がある、という状態が理想なんです。make SPACEが活性化して社員の方が生き生きとこの場所を使っているなら、そのときは本社もいい状態になっているだろうし、その逆もありえると思います。クスノキのご神木があり、かわいいタヌキの守り神がいるこの場所を社員のみなさんがいろんな発想で活用して、その結果Park KSB全体によりよい変化をもたらし続けることを期待しています。

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