心の余白を作る場所に
必要なサインとは
[サインデザイン]株式会社サン・アド アートディレクター 大森清史さん / エグゼクティブプロデューサー 坂東美和子さん
建物のコンセプトに合わせたサインデザイン
大森 make SPACEのコンセプトを聞いて最初に思ったのは、自分の心に余白を持つための場所を作る会社ってすごいなと、そんな会社があるんだという驚きでした。
坂東 うらやましいですよね、すごく。クリエイティブの場所でもあり、あるいはリトリート、そして学びの場にもなるような素敵な場所が本社のすぐ近くにあるなんて。
大森 それで、そういう場所で僕らが手助けできることは何だろうと思ったときに、心にゆとりを持てる場所であることが必要で、そのためにはサインもあまり固いものじゃない方がいいだろうなと考えました。それでいて、単純じゃなくてちょっと何か考えさせられるような、「なんだこれは」と思ってもらえるような。そういうものを考えようと思いましたね。
限られた人が使う場所におけるサインの役割
大森 公共の場所のサインとは違って、make SPACEの場合はまんべんなく人に伝えなきゃいけないという制約がない、わりと自由度が高いものでした。そのうえで、建築を邪魔しないことは意識しています。
坂東 建物自体はアースカラーを中心とした落ち着いた色合いで、そこに机やソファなどのインテリアとともに大森さんのサインが色を添えて、アクセントになっていますよね。
大森 建築は建築だけで成り立っているもので、そこへ人が入ってくるからサインが必要になるんですよね。そういう意味では最小限のものでいいんですけど、そこにちょっと個性というか、使う人がニヤッとできるものができたらと思ってデザインしました。KSBさんはテレビの仕事をしているから、働いている社員の方にもエンターテインメントに対する意識は必要だと思うし、そういう意味でも、何かちょっとプラスアルファのあるものがいいかなと思ったんですよね。
ロゴマークのタヌキは make SPACE の守り神
大森 設計を担当した前田さんとは以前にも一緒に仕事をしたことがありますが、彼の建物はいつも変わった形をしていますね。今回もその設計図を見ていたんですが、じっと眺めていると動物の形に見えてきたんです。それで少し調べたら、香川県には神様として祀られている立派なタヌキがいるということなので、それならぜひそのお力をお借りしたいと、ロゴマークにタヌキのキャラクターを添えることにしました。make SPACEに入るときに、何かそういう守り神のようなものの手助けを借りられたらいいなと思っています。