よいことカイギ 「次世代のためのよい職場をつくる」

よいことカイギとは、岡山・香川で「新しいことに取り組む企業」「将来を担うリーダーや若者」が集まり、地域をよりよくすることや、面白くすることを一緒に考える活動です。

司会・中村康人(KSBアナウンサー)

2022年6月23日(木)に瀬戸内海放送の岡山本社(岡山県岡山市北区大供)で行われた「よいことカイギ」。

岡山で活躍する100人を起点に人と人がつながった「おかやま100人カイギ」(2019年8月~)が2022年3月で解散しました。
「よいことカイギ」は、新たに人と人の出会いの場をつくりたい、地域が、瀬戸内が、そして日本中が元気になるような「ちから」が生まれる場所をつくりたいという思いから誕生しました。

今回のテーマは「次世代のためのよい職場をつくる」。
異なる業種の企業の経営者が集まり、高校生と大学生の前で思いを語りました。

【夢への挑戦をサポート】松尾 浩紀(まつお ひろき)さん

松尾さんが代表取締役を務めるダイヤ工業株式会社は、医療用サポーターの開発、製造、販売を行っています。

2011年に岡山大学との共同開発で人工筋肉を用いた握力支援のパワーアシストグローブを、2020年には労働軽減のためのアシストスーツを開発しました。

松尾さんの仕事の原動力は、事故で車いす生活になってしまった人の「もう1回歩きたい」「歩いて、大事な人と手をつないで、公園まで行きたい。買い物に行きたい。」という夢です。

「自分が日常生活でできていることを、隣の人、周りの人から『私はそれを人生かけてやりたい』と言われた時に、何か手助けできないかなってすごく思いました。」

現在、松尾さんの会社が取り組んでいることは、「もう1回歩きたい」人の体の動きをアシストするサポートスーツの開発です。

(開発中の人工筋肉を触った高校生)
「力を全く入れなくても、スイッチを押しただけで動いているのが分かります」

松尾さんは、サポートスーツの完成をゴールにするのではなく、1人でも多くの人が歩けると感じられる世界、そしてかの夢をサポートすることで自分も笑顔になれる仕事ができ会社をつくることを目指していると熱く語ります。

「働く仲間と一緒に、できなかったことが可能になったときの笑顔や、前向きになる笑顔を作っていきたい。そのためにはユーザーが笑顔になるのはもちろん、社内で働く社員が笑顔でないと決してそんなものはつくれるわけではない。社員1人1人、お客様1人1人が自分の人生を愛せる。そんな会社をつくっていきたいです。」

【社員が想う『いい会社』を実現したい!】上野雅史(うえの まさし)さん

上野さんが代表取締役社長を務める備商株式会社は、機械設備を扱うエンジニアリング商社です。2022年4月に70周年を迎えました。岡山駅前に設置されている噴水「ふれあいの泉」の管理を行っているほか、アジアへの展開もしています。

総社市出身、ゴルフと釣りが大好き。「おじさんですね」と柔らかく笑顔で話し始める上野さん。10年前の社屋を建て替えで「社屋はなんのためにあるか?」という疑問を抱いたそうです。

本当にお客様満足を考えるならば、社員が主役になってチームとなって輝いてもらいたい。そのためには、社員に喜んでもらえるオフィスにしようということを考えました」

現在の社屋には、昇降デスクやたくさんの植物、そして社員が選んだ家具が並んでいます。また社員が長く働けるように、健康経営や女性社員のサポートといった制度面にも力を入れています。

新しい社屋は「働きやすい」こだわりが
新しい社屋は「働きやすさ」にこだわり

上野さんは、「働きやすい」職場を追求することと併せて、「働きがい」も意識しています。

「働きやすい」は環境や制度が整っていることを表しますが、
「働きがい」は社員個人が感じる“喜び”や“意欲”から生まれます。

社内イベントや社員の家族も参加できる同好会を立ち上げて、チームや部署を越えたコミュニケーションの機会を大切にしています。

「人と人とのつながり、感謝の気持ちを大事にしていくと、やりたいことが出てくると思う」
「働きやすい環境をつくって、働きがいを求めて、一生懸命チームとして頑張る。そういう会社を目指していきたい」

【帆布のこれからを『つなぐ』】武鑓綾香(たけやり あやか)さん

倉敷帆布のトートバック

武鑓さんが経営企画室室長を務める倉敷帆布株式会社は、
明治時代から続く帆布生地の製造工場を関連会社に持ち、「倉敷帆布」というブランドをメインに、帆布生地を使ったバッグやファッション小物などの販売を行っています。伝統ある素材を伝統の製法で作り続け、素材の魅力を生かしたものづくりをしています。

帆布生地は、平織りの厚地で丈夫であることが特徴です。
昔はトラックの荷物を覆う工業用資材として使われていましたが、
時代の変化とともに、現在はトートバックなどの素材として使われています。

武鑓さんは、帆布生地を織るには「シャトル織機」という専用の機械が必要だが、現在は生産されていない古い織機のため、扱うには日々のメンテナンスと長年の経験が必要だと話します。

「今は職人さんたちがちょっとずつ減ってきていて、若い人にも知ってもらいたいなという思いがあります」

武鑓さんは、帆布製品の認知度を上げるために、インフルエンサーとコラボレーションするなど若い世代をターゲットとした情報発信をしています。

また商品開発では、「どうすれば帆布を身近な空間の中に入れられるか?」という視点をもちながら、バッグや小物だけでない現代のニーズに合った帆布の使い道を考えます。

長年にわたり受け継いできた「技術をつなぐ」。
そして次世代に向けて「用途をつなぐ」。
岡山の繊維産業の歴史をつないでいくための職場づくりをしています。

「古い素材だからこそ、若い人からアイデアが出てくると思うので、そういった機会をぜひ作っていきたいですね。」

【足袋シューズで足を守る!】岡本陽一(おかもと よういち)さん

元野球少年だった岡本さんは、岡本製甲株式会社を継いで、足袋のようにつま先が二股に分かれている足袋型シューズの製造、販売をしています。作った靴は20以上の国にも広がっていて、これまで世界初の足袋型野球スパイクやゴルフスパイクを開発したり、海外ブランドとコラボレーションしたりしました。

岡本さんは職場について、日本の他に韓国、ベトナム、フィリピン、中国などさまざまな国の人がいるし、病気や障害がある人も一緒に働いている、多様性があると話します。

「みんな一つの家族のような形で働いてくれています。これが岡本製甲の一番の強みではないかと僕自身は思っているし、社長としてこの家族感は非常に大事にしていきたいと思っています」

経営理念は「わが社の靴でお客様全ての人を健康にする」。

岡本さんは歩行について研究を重ねる中で、靴の形と歩くときの素足の形が違うと、足の変形などトラブルにつながる可能性があることに気が付いたといいます。そのため、なるべく足の形に近い靴作りを心掛けています。

こうした努力によって培われた足袋型シューズの開発・製造を行う技術の高さは、プロのスポーツ選手からも依頼を受けるほど。岡本さんは、世界で活躍する靴を作ることで、スタッフも夢をもって働けているのではないかと感じています。

足袋型シューズは世界で活躍

「足袋は日本の文化なので、海外では「ニンジャシューズ」といわれます。この文化で人の足を守れるのであれば、すごく僕は幸せだなと。靴の歴史の中で、足袋のシューズが加わるようなことがあれば、うれしいなと思います。」

【中小企業に笑顔溢れるワークスタイルを!】石井聖博(いしい まさひろ)さん

石井さんが代表取締役を務める株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)は、社員50名以下の中小企業を専門にしたワークスタイル創造提案企業です。

まずは自社の働き方から変えていこうと、テレワークやICTを活用した多様な働き方を実現するなどの挑戦を続けています。
山陽新聞社の調査によりますと、2023年3月卒業予定の大学生が選ぶ「地場企業の就職希望ランキング」では、ワークスマイルラボが1位になりました。

「実は会社が、13年前に潰れる寸前になりまして……」

石井さんの実家は1911年から続く歴史ある会社で、事務機器やオフィス用品を取り扱っていました。しかし石井さんが継ぐ時までに経営状況が悪化。石井さんは会社の存続のために事業内容を変え、現在は新しい働き方モデルを作って提案する活動をしています。

現在、会社の従業員は28人、男女の割合はほぼ半々です。
「社員の平均年齢も28歳で若い。やっぱり若い子たちがチャレンジできて、どんどん成長できる。そういう会社にしていこうということで、社歴は111年ですけれど、会社としてはベンチャー企業です。」

ワークスマイルラボの働き方モデルの代表的な事例は「テレワーク」。
新型コロナが流行する以前から取り組んでいて、中小企業のモデル企業として総務省や日本テレワーク協会などから賞をもらっています。

「最近あったのは、朝オンラインでミーティングしていたら、どう見ても(場所が)岡山ではないという女の子がいて、聞いてみたら『沖縄に来ました。3日くらい沖縄でテレワークしてみます。』という。でもそれはそれで新しい働き方のモデルになります。」

他にも、社員の健康と経済的支援のためのさまざまな福利厚生を用意していて、中には「ファスティング支援」などユニークな取り組みもあります。

ユニークな福利厚生

石井さんは、中小企業こそ働き方を変えないと成長発展していけないと考えています。
しかし、実際は中小企業の多くが働き方改革に十分に取り組めておらず、誰に相談したらいいか悩んでいるといいます。

現在、石井さんはそういったニーズに応える働き方支援を、全国の事務機業界と連携して行うことができないか挑戦しています。働き方支援のつながりをつくることで、日本中の中小企業の活性化を目指しています。

(これから就職する人たちには)いい会社に入ってもらいたい。やりたいことよりも、自分がどうありたいか。『この会社だったら私は将来なりたい自分になれそう』という会社をみつけて、岡山を、そして日本を元気にしていく人たちになったらと思います。」

ホンネのフィードバック

5人がそれぞれの思いを語った後は、「ホンネのフィードバック」が行われました。

登壇者と高校生、大学生が少人数のグループとなって気になったことを聞いたり、将来について一緒に考えたりしました。

参加してくださった皆さまありがとうございました!

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